まちづくりの基本的課題
地域社会を形成していく上では、一人ひとりが自分の人権と他人の人権について正しい理解を持つとともに、権利の行使に伴う責任を自覚し、人権を相互に尊重し合い、共存を図っていくことが重要です。特に社会的弱者に対しては、虐待やいじめ、差別などをなくし、あらゆる人がそれぞれの持てる力を発揮でき、誰もが生き生きと暮らせる地域社会を市民や地域、事業者、学校などと協働して創り上げていく必要があります。- 児童虐待は、親から子へ、そして孫へと世代間連鎖の傾向が見られます。「自分は大切にされていない」という思いを持つ人は、自分自身を大切にできず、家族や他人も大切にしないことが多いといわれています。「自分は大切にされている」「自分を大切にする」という意識を幼少期から身につける「自尊感情」を養う教育を推進することで、家族の愛情を感じずに育ち、犯罪に巻き込まれる青少年の悲しみの連鎖を断ち切るような取り組みや社会生活に適応できる人づくりが必要となっています。
- 高齢者を取り巻く環境では、特に認知症の高齢者に対する財産の搾取や消費トラブル、介護にかかわる虐待の事象が確認されています。こうした高齢者の人権や権利擁護に向けた取り組みを関係機関や地域の連携により進めていくことが必要となっています。
- 住民意向聞き取り調査などでは、医療や福祉分野の充実が強く要望されています。市民が安全に安心して暮らせるための救急・医療体制の充実や福祉社会づくり、防災対策への取り組み強化が求められています。
本市における市民と行政との協働は古くから根付いており、かつては通学路の除雪や簡易水道などの施設の維持管理に至るまで、生活にかかわる行政サービスのほとんどを自治会等で担ってきました。しかし時代の変化により、市の行政サービスの範囲が拡大するにつれ、自治会等の地縁による地域のつながりが薄れつつあります。- 近年、子育てや高齢者福祉は、地域ぐるみの取り組みの必要性や効果が見直されています。市内全域の小学校では、地域住民の協力を得て子どもの通学の安全を見守るスクールガードが自主的に活動されています。また、高齢者の生きがいづくりや見守りを地域ぐるみで実施されるなど、かつての地域のまとまりを活かした活動も見られていますが、さらに取り組みを広げていく必要があります。
- 公共サービスの提供主体や受け皿が、行政一辺倒ではなく、自治会等やNPOなどが役割を担うことも多くなってきています。市民に必要なサービスが自発的な市民の手で提供されていくように行政のあり方を見つめなおす時期に来ています。
- 今後のまちづくりは、主役となる住民や民間の活力・創造・工夫を活かせる機会を拡充し、市民、事業者、学校等と行政がそれぞれの責任と役割を分担し、相互理解のもと良好なパートナーシップによる新しい公共空間の創造を図っていくことが求められます。
- 6町村が合併して誕生した本市では、一体的なまちづくりを目指す一方で、これまで各地域で進められてきた取り組みを活かし伸ばしていくことが必要となります。こうした自立(律)性のある取り組みを展開するための気運の醸成と体制整備および人材の育成を図る必要があります。
- 人と人のつながりが比較的残っている地域性を活かし、団塊の世代の退職等による人材の活用を図りながら、地域コミュニティの強化やNPO等との協働による地域活力・自治力の強化に結びつける行政支援のあり方の検討が必要となっています。
- 今、教育改革に伴う様々な施策に対する市民の関心の高まりとともに、学校への大きな期待が寄せられています。また、市内の各学校も、家庭や地域との緊密な連携のもとに食育をはじめボランティア活動、種々の体験活動、「早寝・早起き・朝ごはん」運動、あいさつ運動など教科以外の多種多様な実践が求められるとともに、不登校、いじめ問題、非行等多くの課題を抱えています。そうした中で、学習指導要領に示された目標を達成するために、定められた内容の履修と授業時間の確保はもとより、各校の教育目標に向かって実態に即した特色ある教育活動を展開することが求められています。
- 各地域の社会教育の積み上げや伝統を尊重しながらも、市民一人ひとりの思いや、学習ニーズを生かし広い視野に立った社会教育の展開が求められています。特に、ひとづくり・まちづくりの拠点施設となる公民館運営の活性化、市全域にわたる社会教育施設、自然、文化財、イベント等の社会教育資源の有効活用が求められています。また、個人の需要(趣味、関心、希望などを中心とした教育、学習)と社会の要請(社会の共通の課題に取り組む教育)とのバランスを保ちながら、あらゆる年齢層の学習意欲を喚起し、各年齢層に必要とされる社会教育を推進することも大きな課題となっています。さらに既存の社会教育団体の活性化やNPO・ボランティア、事業者等との連携を進めるとともに、健康づくり・社会体育の振興を図り、家庭や地域における教育力の向上を図ることが求められています。
- 本市ではこれまで、多様で変化に富む自然環境の中で、さまざまな地域文化や産業を育ててきました。また、中江藤樹先生等多くの先人の教えが人々に大きな影響を与えてきました。こうした自然、地域文化、産業、先人の教え等は、私たちの宝物であるとともに、人づくりやまちづくりを進めていく上で基盤となるものですが、近年、この宝物についての認識が十分と言えないのが現状であることから、学校教育・社会教育において、自分たちの住む地域の価値の再発見、再認識をするための取り組みを行うとともに、これを生涯にわたる教育・学習活動につなげ、人づくりやまちづくりを進めていくことが求められています。
本市は県内でも高齢化率が最も高く、その趨勢を見ると今後一層高まります。また、地域人口が減少に転じたことから今後一層若者定住を進めなければ、地域活力の減退を招くことにもなりかねません。- 若者定住を促進し、人口および年齢構成の安定化を図るためには、豊かな自然環境を最大限に活かしつつ、生活環境や経済基盤、情報、教育、文化環境、医療・福祉施設等の定住環境を整備・充実していく必要があります。
- 情報通信基盤や交通ネットワークの整備が進む中で、ライフスタイルが多様化しています。様々な生活の形態がある中で、ライフスタイルが生かせる居住空間づくりをしていく必要があります。
本市は、琵琶湖と田園、里山・森林等の豊かな自然環境を有しており、そのことは市民の誇りでもあります。この豊かで魅力的な自然環境を次世代に引き継ぐには、市民の働きかけで持続可能な社会として機能させていくことが基本的な課題となっています。- かつては、川の水を生活に使うため、きれいな水を採る場所と汚れた水を捨てる場所を区別してきましたが、上下水道の普及によりこうした意識は薄れてきています。また、生ごみの堆肥化やごみの分別などによる廃棄物の減量や資源の再利用、省エネルギーや自然エネルギー活用の研究等の取り組みを推進していますが、まだまだ自然環境へ負荷を与える生産活動や市民生活がなされています。
- このため、自然の中で農林漁業や地域生活を営み、環境が守られてきたことを学びながら、自然と人とのかかわり方を見つめ直す持続可能な循環型社会の形成が求められています。
本市は農林漁業や地場産業を中心に発展し、近年では交流産業の展開など多角的な地域経営の形成にも努めていますが、十分な経済効果の発揮や若者に魅力的な就業の場の提供までには至っていません。これまで整備された地域活性化のための施設などは、投資効果を高めるための有効活用や施設間連携を一層進めることが重要な課題となっています。- 本市が有する地域資源の価値を認識し、地域全体のプロモーション(*1)およびサービスの企画・コーディネート(*2)、農林水産物をベースとした商品開発、生産等に取り組む主体の育成・能力開発、情報
の発信、営業・販売等を積極的に推進していくことが必要です。 - 現在は、環境がキーワードの時代です。従来型の企業誘致は社会情勢や立地条件から困難を伴いますが、豊かな自然環境を有する高島のブランド力と素朴で活力ある人材が豊富にある本市の特性を生かし、新たな企業価値の創造に結び付けるよう、支援措置や体制を整える必要があります。
- 都市との交流や企業誘致を図る上で広域交通ネットワークの強化が重要となってきます。鉄道ダイヤの充実や国道161号の整備促進をはじめ、広域連携のための幹線道路整備により、京阪神地域、中京地域、北陸地域と本市を結ぶ交通ネットワークの充実による事業展開と通勤の利便性向上が求められています。
*1 プロモーション 販売促進などにかかる宣伝。
*2 コーディネート 調整し、全体をまとめること。
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市民福祉の向上を図り、豊かな地域社会の構築を目指すには、健全で長期展望に立った行財政運営が必要です。時代の変化に対応つつ、市民の理解を得ながら行政サービスと市民負担の水準の適正化を図るとともに、人件費の抑制や事務事業の見直し、民間委託や行政組織の効率化など、次世代に負担を先送りしない持続可能な行財政運営に取り組む必要があります。